改定までの月数別|1回目の改定額と総返済額

条件は残債3,000万円・残り35年・現在の適用金利0.6%・元利均等、 5年ルールと125%ルールのある契約です。金利は2027年4月から半年ごとに上がり、 3年かけて2.1%に達したあとは横ばいという仮定で固定しました。 変えたのは次の返済額改定までの月数だけです。

次の改定まで改定日その時の金利返済額が変わる月改定後の返済額上限で先送りされた額5年後の残債総返済額
6ヶ月 2027年3月 0.6% 2032年3月 99,010円 4,383円 2,748万円 4,195万円
1年6ヶ月 2028年3月 1.1% 2028年3月 86,106円 0円 2,717万円 4,179万円
2年6ヶ月 2029年3月 1.6% 2029年3月 93,459円 0円 2,702万円 4,172万円
3年6ヶ月 2030年3月 2.1% 2030年3月 99,010円 2,332円 2,710万円 4,171万円
4年6ヶ月 2031年3月 2.1% 2031年3月 99,010円 3,323円 2,734万円 4,183万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。金利の推移・残債・期間・方式を固定し、次の改定までの月数だけを変えています。

いまの返済額は79,208円です。総返済額がいちばん多いのは改定が6ヶ月後に来る形で4,195万円、 いちばん少ないのは3年6ヶ月後に来る形で4,171万円、差は236,350円でした。 5年後の残債でも382,224円の開きが残ります。金利の上がり方は1円も変えていません。

なぜ改定日の位置で差が出るのか

変動金利は適用金利と返済額が別の周期で動きます。住宅金融支援機構【フラット35】は 「変動金利型では、半年ごとに借入金利の見直しが行われます。一方で、毎月の返済額の見直しは5年ごとに行われ、 見直し後の返済額は、変更前の返済額の1.25倍が限度とされているケースが一般的です」と説明しています (住宅金融支援機構【フラット35】)。 半年ごとに動く金利を、5年ごとにしか開かない窓から拾う形になります。

改定が6ヶ月後に来る形では、2027年3月の改定日に金利はまだ0.6%のままです。 そのため返済額は79,208円から動かず、次に窓が開くのは5年後の2032年3月になります。 上昇が始まってから返済額に出るまでの間、増えた利息は元金の充当分を削ることで吸収されます。

逆に改定が3年6ヶ月後に来る形では、2030年3月の時点で金利はすでに2.1%に達しています。 上昇し切った水準に見合う返済額へ早く乗り換わるため、元金が減らない期間が短くなります。 毎月の負担は先に上がりますが、総返済額はこちらが少ないという結果です。

金利の見直し回数と改定回数の差でも触れたとおり、 半年ごとの見直しのうち返済額に出るのはごく一部です。どの見直しが拾われるかを決めるのが、この改定日の位置になります。

125%ルールに当たるかどうかも変わる

いまの返済額79,208円の1.25倍は99,010円です。表のうち、改定後の返済額が99,010円で止まっている行は上限に当たったもので、 本来の計算額との差が「上限で先送りされた額」の欄に出ています。

改定が6ヶ月後に来る形では、5年後の改定時点で金利が2.1%まで上がっているため本来の返済額は103,393円になりますが、 上限で99,010円に抑えられ、4,383円が後ろへ回ります。 一方、改定が1年6ヶ月後や2年6ヶ月後に来る形では、改定時点の金利が1.1%・1.6%と上昇の途中なので、 本来の計算額が上限に届かず、先送りは0円です。

上限に当たらない形は1回目の改定額が86,106円や93,459円と低く見えますが、 その後も5年ごとに改定が続くため、どこかで負担は追いついてきます。 月額のピークは101,947円から104,597円の範囲で、総返済額が多い形の方がピークも高くなりました。

上昇幅別|改定日の位置による差額

上昇幅を変えると、改定日の位置による差はどう動くかを計算しました。 各行は、5つの形(改定まで6ヶ月・1年6ヶ月・2年6ヶ月・3年6ヶ月・4年6ヶ月)のうち総返済額が最も多い形と最も少ない形を比べたものです。

上昇幅到達後の金利総額が最も多い形その総返済額総額が最も少ない形その総返済額差額
+0.5% 1.1% 6ヶ月後 3,594万円 3年6ヶ月後 3,591万円 30,801円
+1% 1.6% 6ヶ月後 3,880万円 3年6ヶ月後 3,870万円 94,738円
+1.5% 2.1% 6ヶ月後 4,195万円 3年6ヶ月後 4,171万円 236,350円
+2% 2.6% 6ヶ月後 4,548万円 2年6ヶ月後 4,489万円 586,910円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。いずれも3年かけて上昇し、その後は横ばいという仮定で統一しています。

上昇幅が+0.5%のときの差は30,801円で、総額3,594万円に対してはごく小さい額です。 ところが+2%になると差は586,910円まで広がります。 上昇幅が大きいほど、据え置き期間に積み上がる利息も大きくなるためです。 言い換えると、改定日の位置が効いてくるのは上昇が大きい局面に限られます。

未払利息が出る金利も改定日の位置で動く

未払利息は、その月の利息が返済額を超えたときに発生します。返済額が据え置かれている期間が長いほど、 同じ金利でも未払利息に届きやすくなります。そこで、形ごとに「3年かけて上がるとして、上昇幅が何%を超えると未払利息が出るか」を逆算しました。

次の改定まで未払利息が出る上昇幅そのときの金利+1.5%の場合
6ヶ月 +2.73% 3.33% 発生しない
1年6ヶ月 +3.41% 4.01% 発生しない
2年6ヶ月 +3.53% 4.13% 発生しない
3年6ヶ月 +2.73% 3.33% 発生しない
4年6ヶ月 +2.73% 3.33% 発生しない

このサイトの計算エンジンによる算出値です。上昇の形(3年かけて到達)を固定したまま、上昇幅だけを二分探索しています。

危険水位は3.33%から4.13%まで、0.80ポイント分動きました。 もっとも高いのは改定が2年6ヶ月後に来る形です。 なお、この記事の基準ケースである+1.5%(到達2.1%)では、 どの形でも未払利息は発生していません。危険水位の下限3.33%にまだ届いていないためです。 危険水位そのものの読み方は未払利息はいつ発生していくらかにまとめています。

「改定が遅いほど有利」ではない

表を縦に見ると、総返済額は改定が3年6ヶ月後の形で最小になり、それより遅い4年6ヶ月後の形では4,183万円へ戻っています。 単調に減り続けるわけではありません。上昇が終わった直後に改定が入ると、上がり切った水準に見合う返済額へ素早く切り替わります。 それより改定が遅いと、上昇が終わったあとも据え置きが続くだけになり、元金が減らない期間が延びます。

危険水位の順位も総返済額の順位とは一致しません。危険水位が最も高いのは2年6ヶ月後の形で、総返済額が最小の形とは別です。 加えて、上昇幅別の表を見ると、総額が最も少ない形は+1.5%では3年6ヶ月後、 +2%では2年6ヶ月後と入れ替わります。 「どの位置が有利か」は上昇の大きさに依存するため、一般則としては使えません。

そもそも改定日の位置は借入時に決まっており、あとから選べるものではありません。 ここで使えるのは、有利不利の順位ではなく「自分がどの位置にいるか分かれば、返済額が変わる月と、その間に元金がどう動くかが先に読める」という点です。

自分の改定日を確かめる手順

まず返済予定表か契約書で、返済額の改定周期と直近の改定時期を確認します。 5年ごとであれば、直近の改定月に5年を足した月が次回の改定月です。改定の起点は借入月とそろっていない場合があるため、 借入月から数えずに改定実績から数えます。

次に、金利変更のお知らせを時系列に並べます。適用金利がいつ何%になったかが分かれば、 次の改定日までに何回ぶんの上昇が据え置かれる計算なのかが見えます。 通知の読み方は金利変更のお知らせが届いたら、 予定表の見方は返済予定表の見方にまとめています。

そのうえで、残債・残り期間・現在金利・次の改定までの月数を入れて試算します。 次の改定で返済額がどこまで動く計算になるか、上限に当たるのか当たらないのかを先に把握しておくと、 通知が届いてから慌てずに済みます。

改定日が分かったあとに動かせるもの

改定日そのものは動かせませんが、改定日との関係で時期を選べるものはあります。 繰上げ返済は、入れた直後の改定で残債が小さい状態から返済額が計算し直されるため、改定前に入れるか後に入れるかで改定額が変わります。 金額ごとの効き方は金利上昇への備えに繰上げ返済は効くかで計算しています。

借り換えや固定への変更をすると、改定の起点も新しい契約のものに切り替わります。 つまり据え置き期間の残りがリセットされます。この影響は 借り換えで改定の起点が動くとで金額に直しました。 据え置き期間がまだ長く残っているうちに動くかどうかで、次の改定額も残債も変わります。

どちらも、改定日を知らないままでは比較の軸が作れません。 逆に改定月が分かっていれば、その月までに用意しておく資金や、固定化を検討する期限を具体的な年月で置けます。

上昇と改定日のずれについてよくある質問

改定日が遠い方が得ということですか

この試算ではそうなりませんでした。総返済額が最も少ないのは改定が3年6ヶ月後に来る形で、 それより遅い4年6ヶ月後の形は117,771円多くなりました。 据え置き期間が長いほど元金が減らない期間も長くなるため、遠ければ有利とは言えません。

返済額が変わらない通知が来たら、影響がないということですか

返済額が変わらないことと、影響がないことは別です。改定日に金利がまだ上がっていなければ返済額は動かず、 次の窓は5年後になります。その間に金利が上がると、返済額は同じまま利息の割合が増えます。 予定表の元金欄と残債の減り方を合わせて確認します。

改定の起点を自分で変えることはできますか

契約で決まっている改定周期を任意にずらせるかは金融機関と契約内容によります。 借り換えや条件変更をした場合は新しい契約の起点に切り替わりますが、手数料や審査を伴います。 変更の可否と費用は契約先の金融機関にご確認ください。

まとめ

  • 金利の上がり方が同じでも、次の改定までの月数で総返済額は236,350円違った
  • 最も多いのは改定が6ヶ月後に来る形。改定日に金利がまだ0.6%で、次の窓は2032年3月まで開かない
  • 上限に当たるかどうかも位置で変わり、先送り額は0円から4,383円まで分かれた
  • 未払利息が出る金利は3.33%〜4.13%。有利な位置は上昇幅によって入れ替わる